Story

大島産オリーブで石けん

2021.05.25.UP

Una Casita(ウナカシータ)
中田弘子さん

2021年4月、しまなみ海道沿いの島「大島」で採れたオリーブを使った化粧石けんが商品化されました。企画したのは、昨年まで今治市地域おこし協力隊として活動していた中田弘子さん。ハンドクリームや化粧水などを手づくりできるアロマクラフトインストラクター(英国Baldwin社認定)の知識を生かし、今治・しまなみ海道の魅力を発信しています。

中田弘子さん

中田さんは千葉県出身。両親が今治市出身だったため、子どもの頃から夏休みになると市内の祖父母の家に遊びにきていたそうです。短大卒業後は、東京で旅行サイトの編集など長年インターネット関連の仕事をされていました。「仕事が多忙を極めた30代前半、癒しを求めてアロマテラピーにはまりました。勉強してアロマセラピストの資格をとり、サロンに勤務していた時期もあります。その頃、地域福祉のNPO法人にスタッフとして関わる機会があり、そこで自然に触れ合うことや地域のために働く楽しさや喜びを知りました。そのNPO法人の活動の主旨は、“ガーデニング活動などを通じて、植物に触れ親しむことで、生活にうるおいと豊かさを提案する”というもの。土に触れ、植物と関わる中で、地域の人々とつながっていくうちに、これからの自分自身の生き方や暮らし方について考えるようになりました。」(中田さん)

転機が訪れたのは、2017年。今治市地域おこし協力隊の募集を知り、説明会に参加したことからトントン拍子に移住が決定、今治市の中心市街地活性化に奔走します。町の情報を発信するホームページを運営しながら、町歩きイベントを企画したり、協力隊メンバーとイベントを主催したり、さまざまな取り組みに挑戦されました。東京での経験を活かして、ラベンダーなどハーブを使ったワークショップを開催しながら、地域と人、植物との関わり方を模索した3年間だったそうです。

協力隊の任期中に、移住者仲間である男性と結婚をした中田さん、任期を終えたのち、ご主人の住む大島へ引っ越しをします。大島では、約8年前から耕作放棄地などを活用してオリーブを栽培していました。始めたのは、平均年齢73歳を超える地元有志、その名も「ポパイズクラブ」のメンバー。島の人口減少により荒地となっていた土地をオリーブ畑に耕作し、栽培、収穫、オリーブオイルの圧搾まで、すべてを自分たちで手掛けています。「自分たちにできることならなんでもやる」がモットー。はじめはなかなか安定した量が収穫できず苦労したそうですが、多くの人の協力を得て、昨シーズンは2トンの収穫があったそうで、オリーブオイルや塩漬けなどが商品化されました。中田さんも仲間に入り、収穫や搾油などのお手伝いをしています。

収穫したオリーブ

搾油したフレッシュオリーブオイル

中田さんは、以前から大島産のオリーブを使った石けんを作りたいと思っていたそうです。アロマクラフトインストラクターの資格はあるものの、「化粧石鹸」として販売するためには、化粧品製造販売業許可がなければ市場に出荷することができません。そこで石けんの製造は大三島にある「シトラス&アロマ島香房」に委託。試作を重ね、ようやく販売にこぎつけました。 通常よりポリフェノール値が高いとされる、早摘みのオリーブから搾油したエキストラバージンオリーブオイルを配合。無香料・無着色・防腐剤無添加の安心・安全な石けんです。「オイルの栄養分を残しながら低温で時間をかけて熟成させるコールドプロセス製法を採用しました。ココナッツオイルやオーガニックシアバターも配合し、優しい泡立ちで肌がしっとり潤います。」(中田さん) 今年は試験的に少量生産だったようですが、来年はもう少し生産量を増やしたいとのこと。

大島産のオリーブを使った石けん

エキストラバージンオリーブオイルを配合

今年は念願の米作りもスタート。米作りグループに参加し、地元のベテラン農家の方に教えてもらいながら、みんなで田植えや草取りなどをしています。「サークルみたいで楽しいですよ」とにっこり。家の近くに畑も借りてハーブや野菜も育てるようになり、土に触れる時間はますます増えている様子です。地方では、農業従事者の高齢化や後継者不足により、耕作放棄地の増加が問題になっています。米作りの田んぼも、中田さんが借りている畑ももとは耕作放棄地。自分たちが楽しみながらやっていることが、結果的に島の景観や環境を維持保全することにつながり、地域貢献になっているなんて素敵なことですね。

現在中田さんは、平日は市内の企業で働きながら、休日を利用してハンドメイドコスメ教室をひらく準備をしています。「自分の肌に合わせたレシピで作る手作りコスメは、大量生産できない究極の“スローコスメ”です。植物油やアロマの精油など、豊富な自然由来の材料をご自分のお肌に合わせて選びブレンドする手作りコスメを、もっと多くの方に楽しんでほしいと思っています。」(中田さん)今後、自家製のハーブや地元産の素材を使うなど、新しい取り組みにも挑戦中。中田さんのしまなみライフは一層豊かなものになっていきそうです。


I'm into I'm into

Una Casita(ウナカシータ)
中田弘子さん

I'm into cacao

女性にとって化粧品は、肌を整えるという目的以外にも、心を癒すもののひとつであり、素敵な香りやテクスチャーにうっとりし、一日の疲れをいやしてくれるもの。そんな身近な存在なのに、詳しい成り立ちや成分を知らないという人も案外多いのでは。中田さんが提案するのは、植物油やアロマの精油など自然由来の材料を自分の肌に合わせて選び、ブレンドし、手作りを楽しむ「スローコスメ」「グリーンコスメ」。お肌ピカピカつやつやの中田さんの秘密もココにあるのかもしれません⁉中田さんは、スローコスメに夢中です!

Una Casita(ウナカシータ)中田弘子さんのHPはこちらから>>
https://u-casita.com/

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