Story

香る灯りと、癒しの時間。

2023.01.25.UP

しまなみ灯り 菊輪
佐藤 泉さん

瀬戸内海の中央に位置し、古くから歴史ある「神の島」とされる大三島。
この島でエステサロンを営みながら、地元の人との交流を通じてアロマキャンドルの工房を開いたのが、2018年に移住した佐藤泉さんです。野々江集落にあるご自宅兼サロン・工房におじゃましました。

佐藤 泉さん

移住した大三島で

佐藤さんは山形県出身。東京の専門学校卒業後、インテリア関係の仕事に20年以上携わりました。転機が訪れたのは2017年頃のこと。「瀬戸内の島で暮らしたい」というパートナーの希望で、しまなみ海道沿いの島で住居を探し始めます。市の担当課から滞在型農園施設「ラントゥレーベン大三島」を紹介されたパートナーが一足先に移住、農業の基本を学びながら新しい環境に少しずつ慣れていったそうです。約1年後に佐藤さんも東京から引っ越し、島暮らしが本格的にスタートしました。おふたりの現在の住居兼サロン・工房は、以前カフェとして使われていた民家。それをさらにリフォームし、癒しの空間を誕生させたのです。

和の雰囲気が心地よいサロン

設えや生け花にもセンスが光る

極上のおもてなしキャンドル

エステサロンを始める際、お客様へのおもてなしにと考えたのが、地元の素材を使ったキャンドルとピールチョコレート。「キャンドルのゆらぐ灯りと香りでリラックスしていただき、施術のあとにはおいしいスイーツをつまみながら楽しくおしゃべりして帰ってほしいと思ったのがきっかけです」(佐藤さん)。しかし、そのこだわりは妥協のない姿勢にも表れています。佐藤さんは天然素材のキャンドル作りを学ぶために、なんと沖縄へ飛んだそうです。「東京にもキャンドル作りを学べる所はありましたが、自分がやりたいことを実現できる場所、植物素材に特化したレッスンが受けられる学校は沖縄しかなかったんです」(佐藤さん)。なんというバイタリティ!沖縄で習得した技術で、一つひとつ丁寧に手作りをしているのが、大三島蜜蝋100%のハニカムシートを使ったキャンドルです。

天然素材のアロマキャンドル

環境にも人にも優しい大豆由来の植物性油ソイワックスを三層に、地元養蜂家の協力のもと「巣礎」(みつばちが巣を作りやすくするために敷くシート)を巻き、綿芯や精油も天然素材を使って制作しています。

工房で1点ずつ丁寧に制作している

スペシャルな柑橘ピールチョコレート

もうひとつのこだわりが、柑橘ピールチョコレート。佐藤さんが作るピールは、大三島で採れる旬の柑橘を使い、果汁も入れてシロップを作ります。そのため、風味が強く、濃厚な味わい。沸騰させたシロップに皮を漬け込み、何日もかけて徐々に濃度を上げて糖分をしみこませる浸透圧法を用いています。コーティングするチョコレートは、フランスのヴァローナ社製。

材料は大三島産の柑橘

宝石のような美しい輝きを放つピール

このレシピにたどり着くまでには長い道のりがありました。最初は一般的なレシピで作っていましたが、もっと美味しいピールを作りたいと思い、大三島のフランス料理店「しまなみフレンチ Filer(フィレール)」の伊藤シェフに相談したそうです。伊藤シェフから知り合いのパティシエを紹介してもらい、アドバイスをもとに試作を重ねた結果、驚くほどおいしく、本格的な味に進化。今では県外の高級リゾートホテルで販売されるまでになりました。伊藤シェフのお墨付きをもらい「しまなみフレンチ Filer(フィレール)」でも取り扱っています。完成までに2週間以上もかかるという贅沢な柑橘ピールチョコ、取材スタッフも頂きましたが香り豊かで本当においしかったです!

柑橘ピールチョコレート

地元の人とのつながりを大切に

「大三島は柑橘の栽培も養蜂も盛ん。自然豊かでちょっと歩けば野性味ある植物に出会えるのも魅力。食材、素材の宝庫ですよね。その自然の恵みを生かしたものづくりができるのも楽しみです。そのためにも、地元の人とのつながりをもっと大事にしていきたいし、なるべく地元の人を巻き込んだ活動をしていきたいです」(佐藤さん)。地元の人には当たり前すぎて見落とされてきた素材が佐藤さんという作り手によって、新しい価値を与えられ、輝きを増して日本中へ発信されていきます。「まだスタートラインに立ったばかり」と謙遜する佐藤さんですが、移り住んだ大三島で自分らしく輝く姿は、多くの人に勇気と希望を与えています。佐藤さんが点すやさしい灯りの輪は、これからも人々の心を癒し続けます。


I'm into I'm into

しまなみ灯り 菊輪 
佐藤 泉さん

I‘m into ももちゃん

「島に移住したら犬を飼いたい」というパートナーたっての希望で、保護犬の譲渡会に参加した佐藤さん。訪れた愛媛県動物愛護センターで一匹の保護犬に出会います。最初は動物を飼育することにあまり乗り気でなかったそうですが、実際に飼ってみると…「私の方が夢中になってしまいました(笑)もうかわいくて、かわいくて!」と頬はゆるみっぱなし。ももちゃんは佐藤さんの大きな愛情に包まれて、大三島でしあわせに暮らしています。
「I‘m into ももちゃん」佐藤さんは、愛犬ももちゃんに夢中です。

ももちゃん

愛犬ももちゃん

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